カナダ旅行5日目、トロント二泊三日の3日目。この日の深夜便でバンクーバーへ移動することになっていたので、ホテルをチェックアウトした後スーツケースなどはホテルに預かってもらって市内観光へ!最初に目指したのはロイヤル・オンタリオ博物館です。美術館と迷ったのですが、収集品の多さと幅の広さ、そして北米で5番目に大きいとされる博物館と知り、博物館に軍配があがりました。
ロイヤル・オンタリオ博物館・建築

1914年開館。1955年までトロント大学が運営していましたが、現在は独立行政機関として運営されています。世界中の様々な時代の文化、芸術、自然、恐竜、ミイラ、宝石、先住民の芸術を展示しています。カナダで最も多くの来場者を誇る博物館で年間100万人以上の来場者数を記録しています。

歴史的な重厚感のある建築物から超近代的な建築物が飛び出している‼︎と、目の前に現れた博物館にドキリとしました。建物からにょきりと新たな物質が出て来たような、融合というよりは中から生まれてきた感じ。どちらもがっしりとした動かない硬い物質なのに、生きているような蠢いているようなそんな生命感を感じる建築物に見えました。
オリジナルのROM建築はネオロマネスク様式とイタリア様式が融合した建物で、丸みを帯びたアーチ型の窓や、ロビーの天井は美しい装飾が施されています。そして、この飛び出した近代建築は建築家ダニエル・リベスキンドが設計した特徴的なクリスタル型の拡張棟マイケル・リーチン・クリスタルです。もっと建物をぐるりと回ってくるべきだった!と今大後悔するぐら、ネットで検索すると大迫力で興味深い写真がいっぱい出てきます。この建物は脱構築主義(デコンストラクティビズム)建築の代表例といえます。
脱構築主義とは…元々はフランスの哲学者ジャック・デリダが用いた言葉で、その考え方を建築で体現したもの。一方が他方より優位であるとする二元論を疑い、その関係性を流動化させる。単に壊すことではなく、その構造がいかにして成り立っているかを分析し、解体するプロセス自体に意義を見出す「建設的批判」です。テキスト(文章や作品)は固定された一つの正解を持つのではなく、読むたびに新しい意味が生成されると考えます。
脱構築主義建築は1980年代後半に流行。機能性や直線的な美を排し、断片化された形状や不安定な構造を用いた建築スタイルのことを指します。
脱構築主義建築であることは、外観からだけでなく、むしろ建物の中に入った時の方が強く感じました。新旧のコントラストの激しさは、中に入った方が強く感じ、自分が今建物のどこにいるのかわからなくなる不思議な不安定感がありつつも、それは新たな好奇心を呼び、自分の目で見て足を使って歩き頭を使って考えるという基本である本能が呼び覚まされるようなそんな感覚になります。整然とした博物館ならば、展示物から与えられる情報を学んでいくということを当たり前にしていたかもしれないけれど、この博物館では自分で発見したような気持ちになっていくんです。これは本当に不思議な体験だったけど、この建築について調べてみるとストンと腑に落ちたというか。これは入ってみないとわからないので、ぜひ中に入って体験して欲しいです!

メインエントランス(旧館側)の黄金に輝く天井は1933年の拡張工事の際に完成したもの。数百万個の小さなガラス製モザイクタイル(テッセラ)で構成されています。ベネチアの職人たちが制作したタイルがトロントに運ばれ、一つ一つ手作業で埋め込まれました。

ステンドグラスの窓から差し込む光だけなので室内は暗いのですが、この黄金の天井から温かな光が降り注いでいるかのようで優しいものに包まれるような安心感のあるフロアでした。

旧館と新館の間にあるロビーにはフタロンコサウルスの実物大のレプリカが展示されていました。新旧の建築がぶつかり合うこの場所に、恐竜の姿が蘇るというスケールの大きなお出迎えにこの先にどんな発見があるのかとワクワクが止まらなくなります。
サミュエル・ホール


天井から自然光が差し込み、明るく開放的な雰囲気のサミュエル・ホール。他の場所とはまた違った空気感で、エレガントさを感じました。椅子がいっぱいあって、人が集まったりする場所なのかな?と思ったのですが、イベントやレセプション会場として使われることがあるようです。
大理石の階段とトーテムポール
カナダといえばのトーテムポール。どれを見ても、感嘆の声が上がってします。ROMの階段には4本のトーテムポールが設置されているのですが、2本しか写真に撮って来てなかった〜。事前にちゃんと調べてないと、こうなりますよねー。それでも、見かけたら写真を撮らずにはいられない興味をそそるトーテムポールです。

「House 16: Strong House Pole」
ハイダ族によって彫られたトーテムポールで、最上部に座っているのは、ハイダ族の紋章である「グリズリー・ベア」です。もともとはハイダ・グアイ(クイーン・シャーロット諸島)にあった「House 16」という家の正面に立てられていたもので、その家の権威や物語を象徴しています。

「Shaking Pole of Kw’ax̱suu」(クワクスーの揺れる柱)
この柱は、ナース川沿いに住むニスガ族のラクセギール(ワシ)氏族に伝わる物語を表現しています。柱の上部付近には、逆さまになった大きなクジラが彫られています。一番上にはワシが座っており、その下には家族の歴史に関連する人物や動物の像が積み重なっています。昔、この柱が建てられた際に、ある出来事で柱が揺れたという伝説から「揺れる柱」という名がついたと言われています。
階段を上りながら、下りながら、トーテムポールを上から下まで観察できるという贅沢すぎる構造が素晴らしかったです。時間があったらもっとじっくりゆっくり見たかったなぁ。この旅では、いろいろな場所でトーテムポールを目にしましたが、下から見上げることしかできなかったことを考えると、この場所って貴重すぎる!
Schad Gallery of Biodiversity(シャド生物多様性ギャラリー)

とてもインパクトがあるシロサイの剥製が迎えてくれるこのギャラリーでは何千もの動物の標本や植物が展示されており、生命の進化の歴史から、現在の環境問題までを包括的に学ぶことができます。入り口に掲げられているメッセージ『Life in Crisis(危機に瀕する生命)』現代の地球が直面している生物多様性の喪失や絶滅の危機をテーマにしていることを示しています。キタシロサイの野生は絶滅してしまい、今地球上に生存しているのはメスの二頭のみ。絶滅へのカウントダウンが刻々と刻まれています。キタシロサイを絶滅に追い込んだのは人間による密猟と生息地の内戦や政治的不安定の中で繁殖の崩壊に陥ってしまったことです。恐竜のような自然の絶滅とは違い、キタシロサイの絶滅は悲劇と感じ、この先私たち人間は自分たちで犯してしまった過ちを取り返すことができるのかと問われていると思いました。学者でも権力者でも大金持ちでもない私にできることはなんなんだろうと考えていきたいと思います。
玉座の聖母子像(Virgin and Child in Majesty)

なんだか目に止まった木彫の聖母子像。木彫というところが、仏像と重なったのか不思議な親しみが湧いて来ました。ロマネスク様式からゴシック様式へと移り変わる時期(1200年頃)のスタイルを反映しているそうです。
メズーザーケース/シャガール作

メズーザーは、ユダヤ人の家庭において門や部屋の入り口の柱に取り付けられる聖なるケースです。中には、羊皮紙に書かれた聖書の一節(シェマ・イスラエルの祈り)が納められています。
これなんだろーな?と思ってじっくり見たら「シャガール!?!?」とドキドキが止まらなくなりました。この流れでシャガールの作品に出会えるとは‼︎宗教用具であるけれど、シャガールの絵が持つオシャレさというかロマンチックな雰囲気がとても良くて。シャガールの絵はやっぱりいいなぁとしみじみ思いました。
歴史的な家具や調度品で構成された部屋

18〜19世紀の家具や食器って本当に美しい!惚れ惚れしてしまいます。こんな中で生活したら緊張感半端なくて全然寛げないのかもしれないけど。見るだけなら楽しすぎて、妄想がどんどん膨らみます。
ROM・まとめ
正直、全然時間が足りなかった!!!行っていないところもたくさんあるし、足早に通り抜けてしまったところもいっぱい!!何時間くらいいたのかな、3〜4時間くらいだったかな。丸一日いてもいいぐらいの展示物の量でした。レストランとかカフェもあるみたいなので、次に行く時(いつ??)は丸一日使って楽しみたいな。てか、他の場所だとしてもこのくらいの規模の博物館に行くときは丸一日予定を空けておいた方が良いという勉強になりました。
写真を撮っていなかったけど、世界の民族を紹介している展示ブースではアイヌ民族も紹介されていて北海道民としては誇らしい気持ちになりました。
おまけ

博物館の最寄り駅は『MUSEUM』。

ホームに並ぶ柱は、博物館の収蔵品を再現したレプリカになってます!なんか可愛い!この像はトルテカ文明の戦士像(Toltec Warrior Column)。メキシコの古代都市トゥーラにある神殿の柱を模したものです。夕の明星(金星)の化身である戦士の神を表していると考えられています。
私たちは、来るときはこの駅を使わなかったので帰りに遭遇しましたが、ROMに行く前に出会えていたらテンション上がるだろうな〜。帰りは帰りで、もっとゆっくり見たかったなぁと思いながら駅に辿り着いたので「まだ終わってない」感が嬉しかったです。

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