ずっと気になっていたけど、
題材が重いと思って躊躇していた小説でした。
『64』を読んで、横山秀夫さんの書く
人間ドラマに強く惹かれて読んでみることにしました。
思っていたとおりの、
人間ドラマに引き込まれるようにして
あっという間に読み終わりました。
『出口のない海』『64』ときての3冊目なので
まだ筆者を語るほどの何も分かってませんが。
上司と部下の間に挟まれた世代の葛藤が
強く心に響きます。
そして、働くという事の意味を知らせてくれます。
働くことは、自分の為ではなくて
誰かの役に立てる、だからこそ対価として
お金をもらえるのだと、私も思っています。
組織の中に入ると、対お客様への気持ちが
少しずつ薄れてきて、結局上に認めてもらえないと
GOが出ないとなると、よけいに対会社に対して
働きはじめてしまう。
何も怖くなかった若い時から
経験を経て年齢を重ねている間に
新しく家族ができて…
守らなければならない人が増えれば増えるほど
自分の意思と反して従わなければいけない時もある。
下から突き上げてくる若手の勢いと
かつて尊敬のみの眼差しで見ていた上司の顛末。
その狭間に揺れる主人公を
綺麗事だけではなく描いていて
まるで自分もその社の一員のようにのめり込みました。
この小説の舞台となっている新聞社のような
大きな会社に勤めたことがないですが、
規模の大小あれど、日本のどこの社会にも
官民問わず当てはまるんじゃないかな。
求めてくれる人がいるから、その為に働いているんだけど
会社にいればその中での人間関係も重要だし、
正論を言って認められなかったり、厄介者になってしまったり…
闘っているうちに、自分がどこへ向かっているのか
何のために働いているのか、分からなくなってしまうことも
あるんだと思います。
今の自分の年齢が主人公の悠木より下なので、
読んでいる最中は熱い気持ちをもった若手の気分で
「悠さん…!!!」って悠木に惚れ込んだり、失望したりしましたが
悠木と同じ世代、そして年齢を越した時には
今と違う感想を持つかもしれないなーと思います。
その時にも、仕事はお客様のためにやっていると
ちゃんと思える自分でありたいな。

コメント
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この本、色んな意味で考えさせられ、のめりこむように読み終わりますよね。深い。
私はこの本からはいりました。この作家さん。
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>マヘスさん
のめり込みますよね!
あまりにも入り込み過ぎて、
次の本のテンポが掴めず大変でした(^_^;)