1999年公開の映画です。
私自身ちょうどこのくらいから邦画にも興味が出てきて、
その当時の浅野忠信さんは邦画界の若手のホープって感じで
彼が出ている映画なら面白いだろう的な俳優だった印象があります。私も色々と観ていたのですが、これは観てなかった。
タイトルと写真から戦場カメラマンで地雷がある国へ行ったんだろうな、と漠然と思っていたのですが。
めちゃくちゃ胸に刺さる映画でした。
戦場カメラマンなんだけど、反戦とか現地の悲惨さを伝えたいという情熱よりも、好奇心とヒリヒリしたものに触れていたいっていう感情が大きかった方なのかなという印象がまずあって。
でも、現地で子供達に慕われおばちゃんたちから可愛がられる一ノ瀬さんからは、みんな本来は同じ人間じゃんってことを伝えられている気がしました。
彼は戦場において第三者の立場で、その立場にいることに凄く冷静な感じがしました。どちらかに偏るとか、敵味方とか、良い悪いとかなくて、冷静に真ん中にいる。
そんなだから敵地に入ることも周りに止められているのに突き進むのかなと。カンボジア人もベトナム人も同じ人間で、ただ戦争が人間を悪魔にするんだと。
戦場カメラマンの情熱とか危険とわかっているのに何故進むのかっていうのは完全に理解はできないけれど、止められないんだなってことは分かった気がします。
それでも、日本に残っている家族が描かれた時にはご両親の心情が痛いほど伝わってきて「もう辞めて帰ってきてくれないかな」と思ってしまいました。
日本は終戦から30年くらい経っていて、戦争を経験しているご両親からしたらこの平和な日本に生まれることができたのに、なぜ我が息子は戦地へ向かうのかと思ってしまいますよね。
日本パートは凄く短かったし、ご両親がそんなに語るわけでもなかったのにこんなにも伝わってきたのは父親役の川津祐介さんと母親役の市毛良枝さんの演技力だったのかな。
情熱的で無邪気で好奇心旺盛でカメラが大好きな一ノ瀬泰造さんを演じた浅野忠信さんは、本当に彼そのものなんじゃないかっていうくらい自然に映画の中で生きていました。やっぱり素晴らしい役者さんです。
時折見せる寂しそうな悲しそうな顔は、なんで戦争なんてあるんだろう、なんでみんな仲良くできないんだろうっていう純粋な疑問があったからなんじゃないかなって感じました。
ご本人が本当にどういう方だったのかは知らないのですが、映画を観て思ったことはそれでももう少し長生きして欲しかったなって事です。30代、40代になった彼の目を通してどんな世界が見えるのか見てみたかったなぁと。
面白いと言っては語弊がある気がしますが、日本でこんなにしっかりとした戦争ものの映画があったんだと感動しました。
すごく考えさせられる良い映画だと思いました。


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