ふわーっとした日常からスタートした小説。
どこにでもありそうな、友達から聞いてるみたいな
エピソードトークに近い感じ。
あぁそれってちょっと迷惑だよね、
わかるわー、そういう気持ちになるよね、
って同意しながら読んでいるんだけど
すごく大きな何かがあるわけでもないので
これはどこへ向かう小説なんだろう?と
半分くらい読んだところで思うんだけど。
大学を卒業して就職したんだけど
会社員としてはあまりうまくいかず
近所のコンビニのバイトと
たまに結婚式の友人代行のバイトをしながら
大学生の頃から住んでいるワンルームのアパートで
一人暮らしをしている青年。
見ようによっては人生にちょっとだけ失敗している感じだけど
まだ20代だし、こんな時期もあるよねー
人に迷惑かけてないしいいじゃないか、
ってくらいの状況。
割りがいいからとやっていた架空の人物の代行をするバイトから
自分自身の自分のための人生を歩み出そうとする若者の
心の機微が丁寧に描かれた小説でした。
その気持ちの変化だったり、行動の起点になる出来事が
周りの人たちとの出会いで
それが大親友とかそういうんじゃなくて
もしかしたら人生で一度きりしか出会わないかもしれない
アパートのご近所さんだったりして。
これ、主人公より若かったり同じくらいだったりしたら
あまり共感できなかったかもしれないけど
主人公より15年くらい多く生きてきた私からすると
こういう出会いってあるよなーと
激動の人生を生きている人もいるけど
私もどちらかというと今のところ凪っぽい人生なので
稲妻が走るような出来事って全然ないけど
自分の心にふっと留まったり、何かを決意するときに
そっと背中を押してくれたのって
一瞬出会った人の何気ない言葉だったりするんだよな
って思い出しました。
これを読んでいたら、あの人どうしているかな?元気かな?
って、思い出す人が何人か出てきました。
まさに「ライフ」。
読み終わって、タイトルに凄く納得した小説でした。


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