悼む人からのこの映画は、
色々と深く感じるところがありました。
愛する妻をひき逃げ事故で失い
5年も失意の底に沈んだままの男。
妻を殺した男が刑期を終え出所。
妻の命日にその男を殺して自分も死ぬと決意する…。
そんな事をしても奥さんは戻って来ないよ、
というのは、当事者じゃないから言える言葉かもしれないですね。
妻からの最後の留守電を何度も何度も聞き、
糖尿だからと止められていたプリンをひたすら食べ、
妻の洋服や下着の匂いをかぐ…
そんな異常なまでの行為も、
胸を締め付けられる思いで観ました。
ある日突然、大切な人を奪われた者のその後を
異常にも(ちょっと気持ち悪いくらいに)切なく
堺雅人さんが熱演していました。
いつもの端正な感じはかけらもなく。
そして、ひき逃げ事故の犯人役を山田孝之が
これまた、ほんとに最低な人間を
イライラするほどリアルに演じていました。
最後の対決(と呼んでいいのかな)のシーンでは
ホントに殺してしまっていいんじゃないかと、
そんな風に思えるくらいの最低人間っぷり。
でも、殺さなかったんですよね。
最後に、「キミはこの話しには何も関係なかった」
と言って。
妻を亡くしたという事実をどう受けとめるのか、
それは、事故の犯人を恨む事で成り立つのではなく
自分自身の中にある、という事だったのかな。
最後に留守電を消し、プリンを食べる事をやめた
主人公の明日は、それまでの5年間と
少し違ったものになりそうだと、
止まっていた時間が動き出したんだと
そんな希望を持てるラストでした。
少しでも、幸せになれるといいな。
と、見終わった後も心の中に生きるお話でした。
重かったけど、いい映画だったー。
そして、いい役者ばかりが出ていました。


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