新撰組三番隊組長斎藤一が主人公の小説です。
歴史小説が好きになったきっかけが新撰組だったので
新撰組関連の小説は何冊か読んでいるんですが
斎藤一が主役の長編小説は初めて!
脇でも異彩を放つ存在なので、
私の中でかなり鮮明に人物像が出来上がっているんですが
この小説を読んで人間味が相当プラスされました。
新撰組から生き残り結構長生きしたというのは知っていたけど
斎藤一が生きることを選択した理由がわかった気がします。
剣一本で闘ってきた斎藤一が、大砲や鉄砲を用する戦争に
魅力を全く感じなくなっていくところは妙に納得できて
命のやり取りをするからこそ生きていると感じていた
というのが、面白いなぁと。
日本をどうしたいとか思想があったわけじゃないところが
すっぱりとしていて気持ちがいい。
こんな人だと生きる意味を見失ってしまうのかなと思ったけど
同じように闘いが好きで剣が好きな沖田が病で死んでいくのを見て、生きることこそがヒリヒリとする命のやり取りなのだと思ったところが素晴らしいなと。
だから彼は生を全うしたのだなぁと納得しました。
この作者・吉川永青さんの小説は初めて読みましたが、戦闘シーンの迫力がとてつもなかったです!
目の前で想像がぐんぐんと膨らみ、キンキンと刀がぶつかり合う音が聞こえてくるようでした。
あと、幕府のために自分たちが官軍だと思って闘っていた斎藤一たちが薩長が掲げる朝廷の旗の前に自分たちが賊軍になっていると実感した時の愕然とした風景。これもブワーーっと目の前に広がって、私も呆然としてしまいました。
臨場感あふれる描写にめちゃくちゃ熱くなりました!


コメント