たった1週間しかなかった昭和64年に起きた
身代金目的誘拐事件…
という紹介の言葉が印象に残り
ずっと読みたかった小説。
かなりの分厚さに躊躇しましたが、
読んでみたら一気にいけました!
前半は、「このミス大賞とったからには
ミステリーなんだよね???」と疑問に思うほど
話がどこに向かってどの謎を解くのか
見えないままに過ぎていくのですが、
後半に入って、点と点が結び付き
衝撃のラストに向けて一気に加速していきました。
佳境に入ったときには、本の残りがちょっとしかなくて
どうやって終わるの?解決できるの?
と、違う意味でもドキドキ。
謎解きの要素よりも人間ドラマが
深く描かれていて、
胃にずしっとくる重めで面白い小説です。
ちょいちょい泣き所もあって、
地下鉄で読んでいる時にやばかった事も。
読書中のスタンスとして、
*主人公になりきる
*主人公の周りの人物になりきる
*俯瞰で物語りを読む
など、いろいろあると思うんですが、
「64」では、私は完全に主人公の三上になりきって
一緒に苦悩しておりました(笑)。
本を閉じた後も引きずって、警官気分。
交番の前を通る時に、「お疲れ様です!」って
気持ちになったりね。←影響されすぎです。
ここまでどっぷりと主役になりきったのは久々なので
そんなところも面白かったです。
物語自体は小説の終わりで全て片づく事はなく
色々な真実が浮かび上がってきた所で終わりますが、
この小説にかぎっては、それもアリだと思いました。
それは、自分が主人公になりきったせいもあるのかな。
「色々大変な事もあるけど、やってやるぜ」
という気持ちで終われたので。
すぐにでも映画になってしまいそうなお話でもあったので
読後はキャスティングを考えたりして
今も楽しんでします。
同じく横山秀夫さんの著作で、前々から気になっていた
「クライマーズハイ」も読んでみようかなーと。
題材が、どうしても暗い気持ちになってしまいそうで
躊躇していたけれど、人間の描き方がとても面白いので
気になるな~。
とりあえず、次に読む本がいっぱいあるので
それが片づいたら考えてみようかな。


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