ちょっと前に読み終わった「ライフ」に続き
小野寺史宜さんの小説二冊目読了です。
すごく優しく穏やかな空気感は共通しているけれど
「ひと」の方が感情が揺れました。
主人公のエピソードが濃いからかな。
側から見ると、若いのに本当に大変だと思える状況の中
意外と冷静に淡々と生きている主人公。
でも、孤独とか辛いと実感することってジワジワと感じていくもので、渦中にいるときは意外と本人は冷静だったりするんだよなと。冷静というか悲しみの感情を受け止める余裕もないのかもしれない。
そんな若いのに懸命にしっかりと生きようとする彼に
出会う人々が優しくて心がじんわりと暖かくなります。
ちょっと嫌な人もちょっとだけ現れるんだけど、
ちょっとイライラするんだけど、
でも彼に近い人は本当に優しい。
それは、彼が本当に優しいからなんだなーと読み進む毎に
その思いが強まります。
そしたら、亡くなった主人公のご両親がそんな風に子供を育ててきたのだなと思って、もう涙の連鎖です。
彼自身の中にご両親が生きているんだなと。
物理的には会えないから、これからも会いたいと思って
孤独と悲しみに耐える日があると思うけど
この主人公ならきっと頑張っていけるだろうな、
なんて良い小説に出会った時になってしまいがちな
小説のその後を想像することがこの「ひと」でもできて
良い本に出会ったなーって読み終えた後にしみじみしました。
「ひと」ってあったかいよね、って思わせてくれる小説でした。



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